スイートポテトにまつわるエトセトラ

家族みんなでコネコネして、スイートポテトを作った週末。
週明けに、残ったスイートポテトを子供達が食べてて、妻が気を利かして、僕に一つだけ残しておいてくれた。
スイートポテト残しておいたよ、と告げる妻。
ふと、昔々、小学6年か中学1年の時に、商店街の和菓子屋でスイートポテトを買って食べたことを思い出した。
僕が通っていた塾の隣に、それこそ昭和感丸出しで、男はつらいよに出てくる「とらや」のような、でも「とらや」みたいな風情はない、無機質な造りの店構えの和菓子屋があった。丸っきり色気も何もない。惹きつけられる要素はない。そんなお店。
その店先のガラスケースに、団子だとか饅頭だとか、僕にはあまり関心の向かないお菓子ばかり並んでいたが、「スイートポテト」だけが、唯一カタカナで値札が書かれていて、妙に目を引いた。しかも100円だ。
塾の前で友達とたむろしてダベっていた時、チラチラとその100円の値札と、黄金色のお菓子を眺めていたものだった。

しばらくの間、それこそ1ヶ月くらい、ずっと迷っていたのだが、僕はそのスイートポテトが食べてみたくて仕方なかった。
100円といえば、当時の僕にとっては、大金ではないけど、そう簡単に出したくない金である。そして、そこに行くのは塾のある日。そうなると友達が横に居る状況になる。だから、なんとなく手を出しづらかった。気恥ずかしかったのかもしれない。

ある日、「あ、俺腹減ったー」とか適当な小芝居をうって、一つスイートポテトを買った。「こういう老舗のは旨いんだよな」というセリフを、照れ隠しに、そして自分に言い聞かせるかのように発したのは、明確に覚えている。
透明なフィルムに包まれていた黄金色のお菓子。
ついに僕は、その憧れのスイートポテトを口に入れた。
・・・予想外に、それほど旨いものではなかった。パサパサボソボソしてて、甘いんだか何だか、ぼやけた味で。
随分がっかりしたのを覚えている。

覚えている、と書いたけど、妻からスイートポテトの話題を振られるその瞬間まで忘れてた。
今はどうやらその和菓子屋は無いみたいである。

by masa-stones | 2018-11-26 23:39 | 由縁 | Comments(0)  

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