哀悼の意を

僕が社会人人生で出会った、二人目の係長を、僕はとても尊敬していた。
その方は、丸っきり畑違いの部署に係長として着任し、当時15人くらいの大所帯の係を統率しなければならず、ずいぶん苦労をされていた。
そこにいたのが、社会人2年目の23歳の僕だった。

当時の僕は理想と志を持って入った職場の現実を知って失望していて(要するに現実に上手くアジャスト出来ないでいた)、ふて腐れていた頃だった。やりがいを見出せない目の前の仕事。キャリア10年近いベテラン前任係長には、書類をまわす度に赤ペン先生で指導を受ける日々。やる気も覇気も無い諸先輩方(僕の目から見た率直な感想だけど、鼻息の荒い若造の僕にはそう映った)。
このままでいいのかって思ってたときに、その尊敬する係長と出会った。

その方は、とにかく慎重。丁寧で細かなところまで、とことん突き詰めて、納得しない限り首を縦に振らない。
しかし性格は穏やかで温和で優しい、温かみに溢れた方だった。
そんな人柄に僕は安心感を得ていたし、だから全面的に信頼することが出来た。どんなに小さな事でも、気軽に何でも相談する事が出来たのは幸せなことだった。
今でも良く覚えているのは、職場の駐車場の改修を計画したときに、真っ暗になった冬の18時過ぎ、二人でメジャーを持って駐車場内をあちこち計測して歩いたこと。色々な雑談を交えつつ、改修計画について真面目に話し合ったりした。係長は、いつでも僕のような若造の、浅薄なしょうもない考えに、辛抱強く耳を傾けてくれた。
そして別の課に異動になって2年が経過した頃、僕が海外勤務を命じられたことを報告に行くと、笑顔で祝っていただき、激励をしていただいた。

その方が、先日亡くなったと聞いた。
それは先輩が僕に新聞記事を示して教えてくれた。
自宅近くで路上に倒れていた、病院に運ばれたが死亡が確認された、と。どうもひき逃げのように、新聞記事からは推測された。
既に退職されていたので、職場のオフィシャルなルートからは、通夜や葬儀の情報は得られない。当時の同じ課の先輩方にメールで尋ねたところ、お一人を除いて、みんな知らなかった。
この知らせを聞いて、僕は固まってしまった。あまりの唐突な知らせに、うまく呑み込めなかったのだ。
笑顔が素敵で、生真面目で、真っすぐで誠実な人柄、自慢のお嬢さんの話をいつも話していたことを思い出すと、ご家族の無念さ、悲しさに言葉を失ってしまう。

僕に仕事をすることの楽しさを教えてくれた方。
仕事に対するスタンスを教えてくれた方。
何よりも、自分を信頼してくれた方。

心よりご冥福をお祈りしたいし、心からの御礼を伝えたい。

[PR]

by masa-stones | 2016-11-02 00:55 | 由縁 | Comments(0)  

<< ワンモア 大井町散策 >>